でも廊下には誰も居なくて俺は




視聴覚室―――開かない。


図書室――――開かない。


先生……どこだ?



理科室―――耳を澄ます。


居そうにない。



……気にしすぎか?………でも……なんか……嫌な予感。




そして




PCルームのドアノブに手を掛けようとしたその時




――ガチャガチャガチャ♪――



「…………」



音のした方に行ってみると




「………はぁー」



………居た。




寒いこの時期、そこへはもう誰も寄り付かない。


だって来ても鍵が掛かっててそこには出られないから。


でも先生は居た。


短い階段の上、屋上へ出るドアの前にうずくまって……。





俺はすぐ先生の側に近付き


「先生?」



すると先生は俺の制服の袖を掴み目に涙を溜めた顔を上げて



「ト・トイレに行くつもりだったのっ!……で・でも入っててっ!!」



「…そうか…落ちつ」



「で・電話きたのっ!!
さっき!ココにっ!きたのっ!!
何で!?何でココにまで掛けてくるのっ!?」




「解った……解ったから落ち着いて…」