「慎っ!!」





「チッ……何だよ!」




急いでるんだ。
止めるなよ。




「外、寒いわよ?行くなら上に何か羽織ってから行きなさい」




言われて気付いた。



薄着だった。




急いで部屋に戻り、すぐ目についたパーカーを羽織ってまた玄関に行くと





「危ないから。……はい」




タクシーで行けって事か……




何も言わずにお金をくれた母親。




「あ。どうも。朝戻る」




「解ったわ」







俺の家から約20分……道のりが凄く長く感じた気がする。




大きな道でタクシーから降りた俺は早速先生に電話。




「先生?今近くだから。すぐ行くから」




すると先生は大声で




「来ちゃだめって言ったでしょ!?今すぐ帰って!!絶対来ちゃだめっ!!」




何でそんなに……だめって言うんだ……?




でも




「いやだね。もう着くし」




こんなに全力で走るのは小学生の時以来。
と思うほど俺は全力で走った。