そうしてもう何度目かの痛みを逃している時、玄関を開ける音がする。

「ガチャン」

音がして玄関が開き、バタバタと足音がしてリビングのドアが開く。

「千花!千花、大丈夫か!」

「伊吹、んん!!なんとか大丈夫」

伊吹に支えてもらって、なんとか玄関まで行くとストレッチャーがあり乗せてもらう。

「んー、はぁはぁはぁはぁ」

荒くなってく呼吸、その合間に伊吹が声をかけてくれる。

「千花、スグ病院着くからな」

そう言って、伊吹が付き添ってくれて乗せられたのはウチのドクターカー。

「すぐだから、頑張れ」

私の手を握る伊吹は、この事態に気が気じゃない顔。

「アホ、お前ちょっと退いて嫁さん診させてくれよ?」

そこには救命救急の米澤先生が居た。

「米澤先生、お願いします」

「おう、嫁さんまだ大丈夫そうだが、波間かな。ごめんな、ちょっと診るぞ」

そうして触診すると、先生は顔色を変えて運転手に指示を出す。

「急いで病院へ、このまま即分娩室だ。新生児のための保育器も2台準備させといて」

そばにいた救命救急のナースが答える。

「はい!伝えました」

「なるべく振動は控えつつ、急げ!」

そうして、私は病院へと運び込まれて行くことになった。

病院に着くと救命救急の入口でお義父さんが待機しててくれた。

「んーー、ぃあぁぁぁ!」

着いた頃には、また痛みが増していて痛む度に声を上げてしまう。

「千花ちゃん、痛いね。もう大丈夫だよ。病院着いたからね!このまま、出産しようね」