裁判室の絢爛なシャンデリアがドアの向こうに消えた。被告人はずるずると引きずられ続けている。

伸ばし放題の汚らしい灰色の髪はひどく痛み、体は煤だらけだ。絵に描いたような囚人服を身にまとっているが、その囚人服もやはりぼろ雑巾のように粗末だ。被告人を引っ張っている両脇の看守は2人揃って片手で鼻をつまんでいる。

「おい、自分の足で歩け!」
看守の1人が鼻をつまんだまま被告人にどなる。

「……」
「言うことを聞かんか!このごみ虫めが!」

別の看守が被告人の無言に耐えかねて叫んだ。
被告人は、依然看守が引きずるのに任せたまま、くっと目を細める。