「よって、被告を懲役165722年に処す」

髭を垂らした裁判官がガベルを打った。音は反響して、部屋中に染み渡る。
冷たく冷ややかな視線に絡まりながら、被告人は無言で、長い前髪の隙間から、裁判官を睨みあげた。

被告人は警備の人間に両腕を取られ、引きずられるようにしながら部屋を後にする。
きっと死ぬまで監獄から出られないのだろう。しかしこの被告人は尚も目を尖らせてきつく前方を睨んでいる。その、世にも珍しい東雲色の虹彩には、たしかな光が浮かんでいた。