古い童謡を思い出していた。

誰かから教わったのか、それとも自分で見つけ出したのか。細かいことは思い出せないが、どこからかほの白い光が差しこんでいた。それは私の頬を撫でて、童謡の書かれた紙の上に滑り込んだ。
おそらく羽根ペンで書かれたであろう文字を指でなぞると、文字の部分がかすかにくぼんでいるのがわかった。
何度も何度も指でなぞった。童謡の歌詞はすでに脳裏にこびりついていた。何度も、何度も読んで、何度も、何度もなぞる。
手を離したくなかった。
暗い部屋の中、うなだれる私の、なんと惨めなことか。
あんな思い、まっぴらごめんだ。