そんなことを考えていたとき

視界の隅に人影をとらえた。

ん?あんなところに人がいる…

その姿は

体育館の裏へと、消えていった…

すごく気になる…

ちょっと行ってみよう!

人であふれかえる輪から

わたしは抜け出し、その人影の方へと

引き込まれるように

義足の足を必死に動かしていた。

はあ、はあ、はあ…

息を切らしながら

ゆっくり体育館裏へと歩いた。

そこになにがあるのか…

まるで宝探しゲームを楽しむ

小学生みたいな気分だ。

ドキドキ…ドキドキ…

そ〜っと覗きこむと、

そこにいたのは、背の高い男の子。

なにか腕に抱えてる…

ん?あれは…バスケットボール?

でも…なんでこんなところに

バスケットボール?

しかも、ぽつんとひとつだけ

バスケットゴールがある。

首を傾げながら男の子を

見つめていると…

男の子がゴールを見つめた…

そして…次の瞬間だった。

!!!

飛んだ!!!

ガン!!

男の子が、ゴールにボールを

叩きつけた!

そのときだった…

男の子に、太陽の光が差して

背中に輝く翼が見えた!!

…ってか!

人間に翼が生えるわけないよ!

でも…

たしかに輝く翼が見えた気が

したんだ。

キラキラして

すごくきれいな翼が…

その一瞬でわたしは男の子に

心を奪われた。

男の子に綺麗という表現は

いかがなものか?とも思うけど、

とにかくわたしは目の前の光景に

一瞬で目も心も鷲掴みに

されたように、目の前の光景から

目が離せなかった。

すごい…

人間ってあんなに高く飛べるんだ…

わたしには、絶対出来ないな。

運動すら、まともに出来たことが

ないし…

動けば、冷やかしに合ってたから

いつしか、人前で走ることも

飛んだり、跳ねたりも

しなくなった。

この男の子のように、

思いきり飛べたら、きっと

気持ちいいだろうな…

大空を自由に飛ぶ、鳥のように。

わたしはこっそり見ていたことも
忘れて、拍手していた。