「だーいすきだよっ。かーくん!」
ユメの声がする。なにをしてこのセリフを言うことになったのか、なぞだ。そして、次の瞬間。
「僕もだよ、ゆーたん」
と僕の声がする。衝撃が大きすぎる。ユメの事が好き?しかも、なんだ、そのダサくて恥ずかしいあだ名は!!
そんなこんなで妄想(?)と格闘していると、
『ピピピピっピピピピっ』
目覚まし時計がなった。僕はびっくりして、飛び起きた。
そして、自分の部屋を見渡す。
夢か、焦った。あれが現実なら気絶する。ユメが…なんか、化粧しているのか、キラキラしてみえた。しかも、中学生くらいになっていて、でも私服だった。やばいな、妄想かな…。
そして、目覚まし時計を止める。
ふと、目覚まし時計で時間を確認する。
今は、七時。今日は学校。やばい、遅刻だ。
六時半に目覚ましをセットしておいたはずなのに…寝過ごしたか。
僕は急いでリビングへむかう。
そして、リビングに入り、お皿にのっていた食パンをくわえながら着替える。
キッチンにいた母さんが、
「あ、おはよう。海、遅刻するよ」
と言う。知ってるよ、そんなこと。だから、こんな事してるんだよ。心の中でそう思う。
「遅刻、遅刻!」
パンをくわえながら喋ったので、多分つうじていないが、まあいい。
集団登校は七時十五分。今は、もう七時十分くらいだった。
パンを全部食べ終わる頃には、もう着替えも終わっていた。
リビングをでて、玄関へ行く。
ジャンバーを着て、ランドセルを背負う。
そして、運動靴をはく。
「いってーきまーす」
僕はリビングにむかって叫ぶ。
ドアをガチャンと引っ張ったとき、いってらっしゃーい、今日は早く帰ってきてね、と聞こえた。