わたし、加藤惟由(いゆ)。
恋する中学3年生。
1年生の頃からずっと恋する乙女(?)やってます。

わたしの好きな人?

雅琉偉(みやびるい)くん。
身長が高くて大きな目が印象的な、
クラスのみんなに好かれてるムードメーカー。

なんで雅くんのことが好きになったかって?

それは中学1年生のとある月曜日の放課後のこと。

その日は合唱コンクールのため、クラス全員残って
練習してたんだ。
けど私は風邪を引いてて声が出せなかったから、
マスクをつけて歌詞を見ながら聴いてたの。

「 なんでマスクしてんの? 」

後ろから聞こえた。

「 それな。やる気あんのかよ。」

振り向いた。
2人の女の子がこそこそ…っていうか2列前の私まで
聞こえてくるくらいの声で話してる。
人の気持ちも知らないで…
小さな怒りと同時に…なんでだろう。涙まで込み上げてきた。
涙が1粒1粒ぽろぽろと床に落ちる。

「 加藤さん?どうしたの、おいで。」

先生だ。手招きされて、そっちに向かう。
とりあえず今あったことを話した。

「 あの子たちにはよく言っておくね。」

「 いえ、大丈夫です。すいません。」

教室に戻ってきた。誰もいない。
もう練習は終わったのか。

自分の席に座る。机に突っ伏した。

「 はぁ…合唱コン休もうかな… 」

そうつぶやいたそのとき。

「 惟由?」

頭上で声がした。
顔を上げるとそこには雅くんが立ってた。

「 さっき泣いてたよな?どうかした? 」

見られてた…?

「 いや、なんにもないよ!」

無理に笑顔をつくって答える。
ちゃんと笑えてるかな。

「 嘘下手すぎ。引きつってる。」

私の顔を凝視する。
ち、近い…

「 え、えっと……実はね… 」

さっきのことを話した。

「 よし、わかった。あいつらには俺から言っとく!だから合唱コン休もうとか言うなよ? 」

優しく微笑み、頭をくしゃくしゃと撫でられる。
普段なら髪が崩れるから嫌なのに、今はすごくうれしかった。

。それから私は彼に恋をしました 。

…とはいっても2年生からクラスが離れちゃったから、
全然進展ないんだけど…(泣)

そんな状態がつづいて…
気づいたら中学3年生になってました。
恋の神様は私の味方になってくれないみたい。

あぁ、最悪だ…もう…

だけど、

とある放課後。

いつも通り、友達の未奈美と一緒に