驚きが重なった上に掃除や引っ越しの手伝いまでするはめになった私は上山先生こと、雅に指示され、葵にまで指示されながら文句言う暇なく6時過ぎまで手伝った。



つ… 疲れた……



私は上山宅のリビング、テレビを置いた部屋で座り込んだ。



もう、動けない~

甘いの食べたい~



「 まぁ、今日はここまでだな。織原、助かった。また明日な、葵、俺出かけるから 」



は? 弟置いて出かけちゃうの?



「 先生 あの… 」

「 椿、雅はほっとけばいい。それより、コンビニ行ってくるけど何かいる?」



上山 葵… あんた、優しい!



「 あ、でも 大家さんとこで夕飯だからコンビニは後だな 」



え~ ガッカリ……



私はうなだれるように 床にベタリと転がると仰向けになった。



「 ねぇ… 」

「 なに 」

「 上山先生がお兄さんだったんだね 」

「 雅か… 兄貴は外面いいからみんな騙されてるな 」



外面いい?

イケメンだからかな…



「 兄弟なのに似てるような似てないような… 」



だって、あんたダサ男って言われてんだよ?



「 ああ… 似てるよ、こうすればね 」



葵はそう言うと、起き上がる私を見ながら 顔を隠しているウネる前髪をギュッと束ね上げた。

前髪で隠れていた おでこや眉が露になると、ダサ男は消え、上山先生に似たイケメンが現れた。



え……



「 似てるだろ?」



ちょっ…

似てるもなにも… カッコいいっ!!



私から見れば 雅よりイケメンに見える。



「 似てる…なんか もったいないよ、上山先生と似てて全然ダサ男なんかじゃないじゃん!」

「 もったいないとか わかんねぇ… どうでもいいよ 」



そう言うと前髪を下ろしてしまった葵。

私はそれが残念で仕方がない。