君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「たぶんそう、かな? ドミノ倒しみたいにしちゃって困ってたら、1台1台自転車起こすの手伝ってくれて、すごく助かったって言ってた」

「そんなの……たまたま通りかかって、あんまり手際が悪かったからなんとなく手伝っただけで」


謎がとけたって表情を明るくした進藤くんだけど、じょじょに声がしぼんでいく。

好きになってもらうような、そんな特別なことはしてないって言いたいのかもしれない。


「助けてもらったのもだけど、その時喋った進藤くんの印象が忘れられないんだって。優しく明るく励ましたらしいじゃん?」

「ええ……? いや、俺そんな……励ましたりしたかなぁ」


困ったようにしきりに右耳を引っ張る進藤くん。

でも悪い気はしないみたいで、若干口元が緩んでる。これは美咲の印象も悪くなかったんじゃないかな。


それなのに、「でも」と「だって」を繰り返して、往生際悪くもだもだしている。


「あのね、君がどう思おうと美咲が君を好きになった事実は変わらないんだからね?」

「いや、でもほんと気まぐれで手を貸しただけで、基本そんな優しい奴じゃないんすよ、俺。それなのにそういう珍しくした行動で好きになったって言われても困る……」