君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


深月の視線をすぐさま追うと、茶髪の小柄な男子と背の高い男子が並んで廊下へ消えていくのがギリギリ見えた。

急いで深月の腕を引いてその背中を追いかける。


「進藤くん! ちょっと待って!」


廊下に溢れかえる生徒の波をかき分けながら、小柄な背中に呼びかける。

茶髪の子が驚いたように振り返り、走ってくるあたしに戸惑ったように後ずさりした。


「君、進藤くん!?」

「え、うん。そうだけど」

「深月、この子で合ってる?」


ぐいと引っ張りながら聞けば「合ってるよ」と鬱陶しそうに手を払われた。


「え、あれ? 矢田先輩!?」

「久しぶり。悪いないきなり」

「お久しぶりです! 先輩と同じ学校なの知ってたけど、話しかけに行きにくかったから嬉しいっす!」

「そうか。相変わらず小せぇな。伸びてんのか?」

「ひでぇ! これでも去年から3センチ伸びたんすよ!」


親し気に会話をはじめるふたりに、あたしは身体ごと割って入った。


「そういう先輩後輩トークはまた今度ふたりでやって! いまは時間ないの!」