君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている





1通目の相手はまず1年生。帰宅部の後輩だ。

行動が読めないから教室にまだ残っているうちに捕まえた方がいいって深月に言われ、あたしたちは階段を駆け上がっている。


「進藤くんて何組!?」

「たしか3組! 小柄で色白で口の下にホクロが2つ並んでる!」


進藤くんは深月の出身中学の後輩らしい。

特別親しかったわけじゃないけど、友だちが仲良くしてた後輩なんだそうだ。

同級生の男子さえ覚えきれてないのに、1年生なんて絶望的だと思ってたから、深月がいてくれて助かった。


3組の教室に飛びこむと、まだ生徒がたくさん残っていた。突然現れたあたしたちに、何人かが驚いた顔をしている。


「深月、いる!?」

「待て。人いすぎてわかんねぇ」

「早く! あと2人いるんだから!」

「知るか、バカ! ……あれ、いねーな」

「はあ!? クラス間違ってない? ほんとに3組?」


いちから探すとなると、かなり時間がかかってしまう。

部活に間に合わなくなる可能性が一気に高くなった。


「あ、いた。いま教室出てったやつ、たぶんそう」