掴まって、と差し出された手をじっと見て、ありがたく掴ませてもらい立ち上がる。
でもそのまま離されそうになった越智くんの手を、逃がすまいと強く引いた。
「やっぱこれ、受け取って!」
勢いまかせに渡してしまおうとしたけど、越智くんはハッとした顔で押し返してくる。
「だから、受け取れないって言っただろ!?」
「じゃあこの手紙がどうなってもいいの!?」
「はあ?」
わけがわからない、と眉を寄せる越智くんを睨み、ビシリと指さした。
「いい? 越智くんが受け取らなかった場合、この手紙はどうなると思う?」
「どうなるって……書いたやつのとこに戻るんじゃないの?」
「戻って、そのあとどうなる? そっか、受け取ってもらえなかったんだ―……ちゃんちゃん、で終わるなんて思ってないでしょうね?」
越智くんは戸惑いあらわに黙り込む。
揺れる瞳は「違うの?」と訊いていた。


