「いいもんじゃねーだろ、ラブレターの配達役なんて」
そんなこと知ってる。
あたしには何の得もないし、失敗した時のことを考えるとむしろマイナスだ。
いまだってそう、割とショックを受けている自分がいる。
あたしが告白して断られたわけじゃないのに。
どうしてこうも、気持ちが沈んでしまうんだろう。
「これに懲りたら、もうこんなくだらねーこと引き受けんじゃねぇぞ。相手も迷惑だろ」
「……そうだよね。山岡先輩も、越智くんも、全然嬉しそうじゃなかった」
「お、おう。……なんか急に素直になられると気持ち悪いな。でもまあ、わかったならいい。巻き込まれる俺も迷惑だし」
「わかったとは言ってない」
「は?」
遠ざかっていく青い背中をじっと見つめる。
空より眩しい青は、彼によく似合ってると思った。
あの姿を、千世は中学の頃からずっと見つめていたんだ。


