君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「結局断るのは同じなのに、そういうの面倒だろ?」

「面倒って……そんな身もふたもない」

「本人には言わないけど、実際そうなんだ。そんなことしたり考えたりする時間があるなら、俺は他にもっとやりたいことがある。練習したり、プロサッカーの試合のDVD観たり、相手チームの対策考えたり。そっちの方が俺は大事だから」


ああ……越智くんて本当に、サッカー中心なんだ。

真摯に語る彼を見て、ようやくわかった。

あたしだって剣道が大好きだし、剣道さえできれば他はいいやって思ってるけど、越智くんはレベルがちがう。

他の何を切り捨ててでも、サッカーがしたいんだ。


ただいまのまま、優ちゃんや深月と楽しく剣道が出来ればそれでいいとだけ思ってるあたしとは、全然ちがう。

そこまでのひたむきさは、あたしにはない。

あたしは越智くんのような、眩しいくらいの純粋さを、とっくに手放してしまった。