君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「いまはサッカーがいちばんだから。それ以外に気持ちは割けないんだ」

「越智くんがサッカーに集中したいから、彼女作らないって話は聞いたよ。でもさ、別に手紙を受け取るくらいはいいんじゃない? 受け取ったからって付き合わなきゃいけないってわけじゃないんだし」


早口になっていくのがわかって、自分でもまずいと思った。

でも止められない。

イライラがお腹からせり上がってきて、口から溢れ出てしまう。


「それともあたしだから? 本人じゃなくて、あたしが持ってきたから受け取らないの?」

「いや、ちがう。そうじゃなくて。なんて言うか……すげー身勝手な話だけど、受け取ったらさ、返事しなくちゃいけないじゃん」


ここでようやく、越智くんは少し気まずそうに頭をかいた。

悪いな、とは思ってる。

そんな気持ちが滲んでるみたいだった。

悪いとは思ってるけど、信念は曲げられないから、冷徹になろうとでもしてるのか。