「協力してくれるって言ったじゃん」
「言ってねぇよ。……ったく」
ダルそうに背を丸めながら、深月が青い集団に向かって歩いていく。
深月が声をかけると、その中のひとりが振り返って立ち止まった。
他の部員たちは立ち止まることなく、グラウンドへと向かっていく。
深月の前に立っているのが、越智くんか。
サッカー部のエース、越智くん。千世の好きな人。
あたしは薄ピンクの封筒を両手で持って、深月たちに近づいていった。
越智くんは日焼けした肌に、うっすらそばかすの浮いた、ちょっと可愛い感じの顔をしている男子だった。
でも練習着から伸びる手足にはしっかり筋肉がついていて、眉はキリッとしてるし男らしさもある。
あたしに気付いた深月が親指で、越智くんを示す。
「こいつが越智」
「うん。あんがと、深月」
突然入ってきたあたしに、越智くんは戸惑った顔をした。


