君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「大体な、頼み方がなってねーんだよ。そこは普通、手伝ってください、お願いします、だろうが」

「手伝ってください、お願いします深月さま!」


ラブレターを持った手で深月に拝み頭を下げる。

偉そうな態度に内心腹は立ってるけど、背に腹は代えられない。

それに深月が意外と面倒見の良い奴だってことは、剣道部の活動の中でとっくに気づいてた。こうして頼めば文句を言いながらも見捨てたりはしないはず。


猫目男はフンと鼻であしらって、あたしの手から封筒を奪っていった。


「アホだな、お前はほんと。こんなことホイホイ受けんなよ」

「ホイホイ受けたわけじゃないし。断ったけど、ああも傷ついた顔されると、あたしの良心がさぁ」


深月はちらりと封筒に目をやって、でもやっぱり興味なさげに返してきた。

こういうの、この男はもう何通ももらってきたのかもしれない。


ひたむきで、純粋で、精一杯の想いが詰まった、この重い手紙を。


「他人の恋愛に首突っ込んでも、ろくなことになんねーぞ」

「……そんなの、嫌ってほど知ってるし」


この薄っぺらい手紙がどれだけ重いかだって、あたしは知ってる。

きっと深月よりも、よくわかってる。