君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


でもあたしの言葉に、深月は不満げな顔で振り返った。


「おい。その言い方は変な誤解を招くだろ」

「変なって? その通りじゃん」

「確かに俺は白木主将を尊敬してるけど、別にあの人だけ見てるわけじゃねーし。いや、そりゃあ主将はどうしたって目を引く人ではあるけどな? それに俺は主将本人っつーより、主将の剣道が好きなだけで。他の先輩方のことだってちゃんと見てるし。それに俺はお前よりはダチも多いわけで」

「何ブツブツ言ってんの? 気持ち悪い」

「お前……」


頬を引きつらせて、深月が立ち止まる。

じゃりっと砂を踏む音が、すぐにグラウンドからのかけ声でかき消された。

砂埃と、青葉の匂いを乗せた風があたしたちを追い越していく。


「俺に協力してほしくないんだな?」

「あっ! いや、うそうそ冗談! 冗談に決まってるじゃーん! 深月くんかっこいい! かっこいいから手伝って!」