急激に背が伸びた深月の、大きな後ろ姿を見て思う。
他人に興味がないのは、深月も同じじゃないかと。正直あたしと大差ないはずだ。
「別に同級生全員知ってなきゃいけないわけじゃないじゃん。あたしはちゃんと、あたしの周りの人のことは最低限把握してるし。それにあんただって似たようなもんでしょ?」
「はあ? 何で俺が」
「この間告白してきた別のクラスの子に“知らない奴に告白されて、いきなり付き合えると思う?”とか言ってフッたって聞いたけど」
なかなか辛辣だよなあと思いながら深月をうかがう。
優ちゃんに次ぐモテ男は、嫌そうに顔を歪めて舌打ちした。
この顔、こいつを好きだって女子たちに見せてやりたいわ。
100年の恋も一気に冷めるに違いない。
「あれは言葉のアヤだっての。顔は知ってるけど、喋ったこともないからそう言っただけ」
「ふーん。……ま、どっちにしろあんたが興味あるのは優ちゃんだけだもんね」
なにせストーカー一歩手前の、優ちゃんの追っかけなんだから。


