昼休みに下級生に呼び出されて、来てみたらその下級生は何を言うこともなく突然逃げ出すし、山ナントカ先輩にとっては迷惑でしかないのはわかるんだけど。

それでも、このまま帰られちゃ困るんだよ。


『ごめん歩! あとお願い!』


お願いされちゃったんだから。



「だってこの呼び出し、告白だったんじゃないの? 本人いないんじゃ意味ないだろ」

「いや~、それは確かにその通りなんですけど。でも、えーと、ほら。告白内容はたぶんここに書かれてると思うし……」


控え目に、託された手紙を彼に向けて見せれば、やれやれといった風にため息をつかれる。

ため息をつきたいのはこっちの方だ。


「そういうのは本人が渡すもんだろ?」

「本当にその通りなんですけどね! でもあの子、あ。加奈子っていうんですけど。加奈子も軽い気持ちで告白しようとしたわけじゃあ、なくってですね」

「軽くないなら、手紙を友だちに押し付けて逃げたりはしないんじゃ?」


ですよねー。そう思いますよね。