いまは彼氏はいないみたいだけど、樹里は美人だし、よく告白もされている。
千世もあたしみたいな恋愛経験ゼロの女より、樹里に頼めばいいのに。
ああ、でも……。
「樹里に頼んだら、手紙渡す相手が樹里のこと好きになっちゃうか」
「……あのね。わたしは友だちの好きな相手に手ぇ出したりしないんですけど?」
「わかってるって。ちょっと思っただけ」
あたしは頼りがいがあるっていうより、安パイなんだろうなと気づいた。
机に残された薄ピンクの封筒が、妙な圧力をかけてくる。
なんでこうなっちゃったかなぁ。
長い長いため息を吐いても、まだ出し切れない。
ずっしりと肩に重い物が圧しかかるのを感じた。
「……めんどくさぁ」
樹里にも、誰にも聞こえないよう、机に突っ伏して呟く。
恋愛なんか、何が楽しいんだろ。
男と女でお付き合いして、何が面白いんだろ。


