君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている



いきなり饒舌に語り出した千世に、あたしは完全に圧されてしまう。

わりと物静かなタイプだと思ってたのに、こんなに喋れるんだってびっくりした。


「わ、わかった。千世がどんだけ越智くんが好きなのかは、よーくわかった」

「じゃあこの手紙、渡してくれる?」

「いや、それはイヤだよ。なんであたしが……」


そんな面倒な大役任されて、失敗したらどうすんの?

あたしのせいってことになるじゃん。


それで逆恨みとかされて、友だち関係が悪くなるとか、絶対やだ。


「嫌なんだ……」


千世ががっかりした様子で呟く。

細い肩を落とす友だちに、罪悪感がわくのは仕方ない。


「加奈子のは渡したのに……」

「そ、それは。いきなりで仕方なくっていうか、成り行きっていうか」

「……歩。渡すだけでいいんだからさ、千世の為にやってあげてよ」


落ちこむ千世の肩を抱いて、加奈子があたしを責めるように見て来る。

渡すだけって簡単に言うけどさ、実際はそれだけじゃ済まないかもしれないじゃん。


樹里が「どうすんの?」って顔でこっちを見て来る。

ちょっとは助ける努力を見せようよ、親友。