君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


輝きかけた智花の顔に、胸がえぐられる。あたしは黙って目を伏せ、首を振った。


「詳しくはわかんないけど、良くなってるってわけじゃなくて。抗がん剤投与を繰り返すから、出たり入ったりが続くんだって。……前会った時、優ちゃんかなり参ってた。抗がん剤始めた頃会いに行ったんだけど……つらそうで、別人みたいで、見てられなかった」


衝撃的だった。忘れられない、あの時の幼なじみの姿。

普段温厚で、何事にも動じない優ちゃんだったから、そのあまりのギャップにあたしも動揺してしまった。


本当に情けない。苦しんでる幼なじみの前で、あたしが動揺してどうするのか。


「あたしじゃダメだった。あたしが行っても、優ちゃんを苦しめるだけだった。だから顔を合わせる勇気がなくて……もうしばらく行けてない」

「……あたしが行っても変わらないと思うけど。自分が行けないからって、代わりにあたしを行かせるわけ?」

「代わりじゃない! 優ちゃんにとって、智花は誰かの代わりになんてならないよ!」

「さっきから何? 何を根拠にそんなこと言うの? やめてよ、あたしずっと前にフラれてるんだよ!」

「フラれてない!!」



カッとなって、気づけば人目を気にせず叫んでいた。