激しく擦りむいた膝に置いた手が、震えている。
「なにやってんの、あたし」
痛がってる場合じゃない。行かないと。
膝も力が入らなくてガクガクしていたけれど、気合で無理やり立ち上がる。
自転車を起こせば、前のカゴは潰れているものの、タイヤは無事でほっとした。
あとでお母さんに怒られるのは確実だけど、いまはそれは置いておこう。
血だらけの足で、自転車にまたがる。
膝だけじゃなく、足首も痛めたのかズキズキするけど、それも無視だ。
とにかくあたしは行かないと。友花のところへ。
あの日の手紙を届けに。
雨に濡れ、黒く変色した地面はいつもより滑りやすい。
坂道は気を付けよう。死んじゃったら、手紙を届けることもできないんだから。
ヨロヨロになりながら自転車をこぎ続け、ようやく目的地が見えてきた時には、雨足は本格的になっていた。
別に濡れるのは構わない。たどり着くのが大事だったから、あとのことはどうでもよかった。
うちの高校よりも真新しい校舎から、生徒が途切れることなく吐き出されてくる。
もう授業は終わってしまっていたらしい。間に合わなかった。


