やっと、坂をのぼりきった!
両脚に一気に乳酸が溜まるのを感じながらも、あきらめずにペダルをこぐ。
自転車がフラついたけど、気合を入れ直し2、3度こげばまたぐんぐんと進みだす。
「悪いけど、切る!」
『部活はどうすんだよ!?』
「それは、えーと、あームリ! 明日から、がんばるから!」
『おい、ちょっとま』
深月の言葉を最後まで待たず、通話を一方的に切った。
落とさないようスマホをポケットに押し込み、短く強く息を吐く。
きつかった。でも部活終盤の掛かり稽古の方が100倍きつい。
肉体のつらさなんて、あたしにとってはたいしたことじゃなかった。長年剣道で培ってきた、丈夫な身体があるんだから。
でも心の方がバカみたいに弱かった。鍛えようとしたことなんてないし、いつだって楽な方に逃げていたから。
ちょっとのことで傷ついて、ふてくされて、あきらめて。
そのくせほしがりで、子どもみたいにわがままで、大切な人を傷つけた。
傷つけ、続けてきた。
だからあたしがこれからするのは、償いで、埋め合わせで、やり直しで、そして……
贈り物だ。
いまのあたしに出来る、本当に精一杯の。


