君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


自分の部屋のドアを壊す勢いで開けて、相変わらず汚い机に飛びついた。


細長い引き出しを開いて、2通の手紙を見下ろす。

そのうちの汚れた手紙を手に取って、また引き出しを閉めた。


折れて皺の寄った方の手紙には、また今度ねって心の中で声をかけた。

いまはこっち。随分長く眠らせてしまった、友花の手紙に用がある。



「あ、ちょっと! あんた学校はどうしたの?」


手紙片手に階段を駆け下りると、いぶかし気に眉を寄せてお母さんが立っていた。

煎餅の袋を抱えてバリボリと食べている脇を通り過ぎ「早退した!」と手短に答える。


「早退したって、熱でもあるの? っていうか帰ってきてすぐ今度はどこ行く気?」

「忘れ物届けに! 自転車借りるね!」

「忘れ物って誰の……こら、待ちなさい歩!」


スニーカーを引っかけて、靴箱の上にあったお母さんの自転車のカギをつかみ外に飛び出した。


途端に頬に当たった雨粒に、小雨が降っていたことを思い出し、慌てて手紙をポケットにしまう。

もうとっくに汚れてるけど、できたら少しでもきれいなまま持っていきたい。


ちょっとでもきれいなままのそれを見て、あの時の気持ちを思い出してもらえるように。