君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている



「3組小島、早退します! それじゃ!」

「おい! 腹痛いって言ってる奴が走るな!」

「すみませんトイレに行きたいんです! さよーなら!」



唖然とするクラスメイトを背に、教室を飛び出した。

誰もいない真っ直ぐな廊下を全速力で駆け抜ける。


転びそうになりながら急いで靴を履き替えて校舎を出ると、まだ雨は降っていなくてほっとする。

でもそのうち降り始めるだろうなと、天気予報を思い出した。



校門を出て、いつもの帰り道をひとりで駆ける。

短い髪を揺らし、スカートをなびかせ、息を切らしてひた走る。


時折こめかみを伝う汗を雑に拭って、一直線に家を目指した。

たどり着く直前に小雨が降り出して、舌打ちする。


雨は嫌いだ。あたしにとって雨は鬼門みたいなものだから。

でも、今度こそ。今度こそあたしは、この雨を晴らせてみせる。



「ただいま!」



バタバタと玄関に駆け込み、スニーカーをポイポイと脱ぎ捨てる。

すぐにお母さんがひょこっと顔を出してきて、目を丸くしてあたしを見た。


「え、歩? あらやだ。もうそんな時間?」


煎餅片手に驚いているお母さんを無視して、階段を駆け上がる。