練習が嫌なわけじゃない。剣道好きだし、きつくても、臭くても、楽しいことは変わらない。
でもしょうがないじゃん。自分でもわからないけど、全然気持ちが上に向かないんだから。
次こそは! って簡単に気持ちを切り替えられたらいいのに。前のあたしならそれも出来ていた気がするのに。
どうしても、心を前に向かせるのに何かが足りない。
「……そんな悩むくらいなら、主将に会いに行けば?」
「はあ? 何でそういう話になんの」
「さっさと会って、謝って、すっきりしてこいよ。お前は単純だから、気になることがあるとそっちにしか意識が向かないんだろ。あれもこれもって出来ねーんだよ。よし、さっさと会ってこい」
それが出来ないから、あんなに必死になって県大会に挑んだんじゃん。
それなのに負けたから、こんなに思い悩んでるんじゃん。
「深月のアホ。無神経」
「ああ? てめーにアホって言われたくねぇわ」
お前とか、てめーとか。深月は相変わらずあたしをそんな雑に呼んでいる。
名前で呼んでくれたのは、結局あの大会の時だけだった。
けっこう嬉しかった分、元に戻ってがっかりしてる。そんなの絶対口には出さないけど。


