「あ」
「お」
屋上をあとにして階段を降りていくと、下で深月と鉢合わせた。
「……自主練?」
「いや。副主将に呼ばれて」
しばらく昼休みは深月と視聴覚室で過ごしていたけど、県大会が終わってから自然とそれはなくなった。
いまはお互い前みたいにバラバラにお弁当を食べて、それぞれの友だちと過ごしてる。
深月はひとり剣道場に向かうことも多かったけど、あたしは行っていない。
朝練もサボりがちになって、放課後の稽古だけをなんとかこなしているような状況だ。
「歩。あたし先戻るね」
なんだか意味ありげな顔をして、樹里が先に教室に戻っていく。
ちょっとからかうようなニュアンスが癪に障った。
こういう感じ、中学の時に嫌というほど味わった記憶がある。「歩は白木先輩が好きなんでしょ?」と決めつけてくる周囲の目。あれに似てるんだ。
「そろそろ気持ち入れ替えろよ。次は国体の予選だぞ」
「わかってるよ。明日からちゃんと朝練もやるし」
「イヤイヤやっても意味ねぇぞ。やるなら気合いれろ。剣道は心技体揃ってこそなんだろーが」
「別にイヤイヤじゃないけど! でも……なんていうか」


