君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


昼休みは視聴覚室で試合分析するのが日課になった。

あんまり相手の情報を詰め込み過ぎるのもいけないけど、相手の得意技、弱い部分くらいは覚えていて損はない。


ふたりでお弁当を食べながら、大きなスクリーンに映し出される試合映像を指して、ああでもないこうでもないと議論した。

それは思いのほか楽しい時間だった。でも……。


ここに優ちゃんがいればなって、何度も思った。深月にはとても言えなかったけど。



放課後は誰よりも先に剣道場に向かっている。深月との早着替え勝負みたいになってきた。

優ちゃんが不在でどうなるかと思ったけど、主将がいない不安から、逆にみんな一致団結することができている。


いままで優ちゃんに任せきりだったことも、部員みんなで相談して意見を出し合って、なんとか乗り越えていってる感じだ。

優ちゃんがどれだけあたしたちの為に苦労してきたか、みんな身を持って感じ、反省した。

申し訳ないって、副主将なんて泣いていた。


罪悪感が士気を押し上げて、全員いままでにない熱意でもって練習に臨んでいる。