「んじゃ行くか。弁当も視聴覚室で食おうぜ」
「うん! ……あっ。ごめん樹里、そういうことだから……」
樹里の存在を忘れかけてた。慌てて樹里の方を向くと、親友は眩しいものを見るような目をあたしたちに向けていた。
目を細めた微笑みは、なぜだか少し、寂しそうでドキリとする。
「樹里……?」
「ん。行ってらっしゃい。あたしは加奈子たちと食べるから、気にしないでいいよ」
「そ、そう? じゃあ、行ってくる」
深月はさっさと自分の机に戻って荷物をまとめている。
その背を追いかけようとして、樹里に呼び止められた。
「歩。応援してるからね」
「え……」
「あたしは歩を、応援するから!」
がんばれ、と。樹里は思わず見とれるような綺麗な笑顔で言った。
もしかしたら、あたしがこの間言ったことを気にしてたのかもしれない。
あんなの、あたしの八つ当たりみたいなものだったのに。
「……ありがと!」
本当はこんな風に、応援してもらえるような立場じゃない。
でも、樹里の気持ちが嬉しいから、ありがたく受け取った。
誰かの応援が、こんなに身に染みたことはない。
その応援にこたえられるようにがんばろう。
そしてあたしも、大切な人を応援できる人間に……なるんだ。


