君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「まあインパクトはあったけどな。……練習行くか?」


お弁当を持つあたしの手を見て聞いてくる。


「ああ、うん。ちょっとでも竹刀振っておきたくて」

「着替える時間ねぇし、素振りか打ち込みくらいしか出来ないだろ」

「それでもいいの!」


大会直前になって、自主練を詰め込みあがいても、どうにもならないことの方がきっとずっと多い。

それでもこれはあたしの気持ちの問題だ。


「……剣道場じゃなく、視聴覚室行くか」

「はあ?」


なんで剣道部員が自主練するのに、視聴覚室に行かなくちゃなんないんだ。

あんなとこじゃ素振りだって満足にできやしないのに。


「去年の試合、たしか顧問が撮影してただろ。確実に上がってくる選手の試合、映像で確認してクセとか分析する方が、素振りするより有意義じゃねえ?」

「深月天才! 最高! いますぐ職員室行こ!」


ライバル選手の試合の分析は優ちゃんがよくやっていた。ノートにびっしり選手のクセやリズムや技、試合運びの傾向なんかを書き込んでいるのを見たことがある。


でもあたしは正直そういうのが苦手で、ずっと避けて通ってきた。

自分が上手くなれば相手の情報なんて必要ない、なんて言い訳をして。