こんな恥ずかしいあだ名を全校放送で呼ばれるって、どんな羞恥プレイだ。
『インターハイ予選の県大会が迫っているので、剣道小町は練習に集中する為ラブレターを届けるボランティアを休止するとのことです。なお、復帰は未定だそうなので、彼女に手紙をお願いする予定だった方もいるかもしれませんが、どうか剣道小町の部活動の妨げにならないよう、僕からも配慮をお願いしたいと思います』
まだ緊張を引きずったような声に、小さな笑いが漏れる。
ただ原稿を読み上げるんじゃない、しっかりと気持ちがこもっているのがスピーカーを通して伝わってきた。
心がほっこり、温かくなる。ありがとう、とマイクの前に立つ磯山くんを想像してお礼を言った。
「歩……。本気なんだね」
「ん。まーね」
樹里が感心したみたいに言うから、照れくさくなる。
「おい。なんだあのバカ丸出しの放送」
竹刀を取りに行こうとする前に、深月が声をかけてきた。
あきれかえったその表情にムッとしたけど、バカ丸出しってところは反論できない。
「うるさいなあ。てっとり早く手紙を断るには、この方法がいちばんだと思ったのっ」


