君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている





あちこちで広げられるお弁当の匂いが、クラスに漂いはじめる。

あたしもお母さんに頼んで大盛りにしてもらったお弁当を持って立ち上がった。


「あれ、歩どっか行くの?」


コンビニの袋を下げて近づいてきた樹里が首を傾げる。


「うん。剣道場」

「練習? 食べてから行けば?」

「いや、なんかじっとしてらんなくて」


鞄からお茶のペットボトルを取り出した時、黒板の上にあるスピーカーからテレビのバラエティ番組のはじまりに使われてる曲が流れ始めた。

放送局が毎日流してるお昼の放送だ。


『6月3日、スクールランチアワーのお時間になりました。今日は放送部の磯山がお送りします』


放送部なのに、ちょっと舌ったらずなMCが喋り出す。

1年生だろうか。まだ慣れてない感じが微笑ましいと思った。聞き取りにくいけど。


『いつもならリクエスト曲からはじめるところですが、今日は先にあるお知らせから。2年剣道部員の剣道小町さんから、全学年の恋する皆さまに重要なお知らせです』


目の前の樹里だけじゃなく、クラス中がギョッとした顔でこっちを見てくるのがわかった。

深月も「何してんだ」って目を向けてきたけど、唇を尖らせて視線を反らす。



「剣道小町って言うなって言ったのに……」