君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている





早朝の、まだ人の気配がしない時間帯。

練習がてら学校までジョギングで向かう。

今日も空には厚い雲が居座っているけれど、空気は澄んでひんやりとしていた。


一番乗りで剣道場に入ると、まず深く礼をした。

心を入れ替え、一所懸命に精進しますと宣言するように。


朝陽が弱いので電気をつけ、ひとり打ち込み台に向かって黙々と竹刀を振る。

破裂音にも似た音が、途切れることなく剣道場に響き渡る。耳に馴染んだ打撃音は、どんどんあたしの集中を研ぎ澄ませていく。


もっと練習がしたい。圧倒的に時間が足りない。

こんなことになるなら、新年度から、去年から、中学の頃から、ちゃんと真剣に取り組んでおけばよかった……なんて。そんな後悔をするヒマもない。

もっともっと、集中して。いまよりも強く、優ちゃんがいた高みへ。



「あ? もう来てんのかよ。早すぎねぇ?」


あたしより30分ほど遅れてやってきた深月が驚くのを横目に、鋭く打ち込む。


「早くこっち来て相手して!」

「地稽古?」

「もちろん!」


優ちゃんのことは言わなかった。深月には言わないって、昨日のうちに決めていた。