君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「そんな……前は仲良くしてたじゃん。一緒に学校行ったし、皆でごはん食べたり、遊んだりもしたよね。忘れたの?」


ひどいことを言ってる自覚はあった。

あたしにとってはどれも楽しい思い出だけど、智花からしてみればどれも思い出したくない過去になったんだろう。


フラれたの知ってるくせに、とばかりに責めるように見られ、視線を床に落とした。


「昔のことなんて忘れたよ。大体なに? そんなに長く入院するの? 検査入院って話じゃなかったっけ?」


お母さん、話してないんだ。

もしかしてお母さんも、詳しくは知らないっていう可能性もある。

軽く世間話のように話せるような病名じゃない気がするから。



「白血病なんだって」


なるべく自然に、落ち着いて、淡々と言おうとして、失敗した。

あたしにとって非日常のこの病名を口にしようとすると、どうしても声が震えてしまう。


「……何の冗談?」


三つ編みをほどこうとしていた手を止めて、智花があたしを振り返る。

たちの悪い冗談だと本気で思ったみたいで、その目は怒っていた。


だから冗談じゃないんだって、首を横に振る。冗談でも、夢でもない。