そんなことを言っても優ちゃんが困るだけだって、それくらいはあたしにもわかったから飲みこんだ。
「俺がいなくなる時のための、予行演習だと思えばいいさ」
「慣れろって言いたいんだろうけど、そんなの慣れたくないよ……。早く良くなって、戻ってきてね?」
「……矢田には苦労をかけそうだなあ」
苦笑いする優ちゃんの手を、そっと握った。とてもとても、冷たくなっていた。死にかけてるみたいで、恐かった。
「深月なんてどうでもいいよ」
「こらこら。またそんな心にもないことを」
「ほんとだし。あたしたちが仲悪いの、優ちゃんだって知ってるでしょ」
「そうかな。お前たちみたいな関係を、本当に仲が良いって言うんだと思うけどね」
じゃあ、あたしと優ちゃんは?
そう聞きたくて、でも聞けなくて、唇を噛む。あたしはすっかり臆病になっていた。
優ちゃんがふと、ため息をついて半分起こしていたベッドに身を沈めた。
あたしは慌てて立ち上がる。長居しちゃいけないって思ってたのに、すっかり話し込んでしまった。
「ご、ごめんね優ちゃん。疲れた? あたし帰るね。急に来てごめんね」
「いいから、そんな謝るなよ」


