君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている






大丈夫だと、その人は笑った。

いつも通りの笑顔だったから、あたしは少し安心して笑い返すことが出来た。


「思い返せば、そういう兆候はあったんだよな。疲れがとれなかったり、ひどく眠かったり。食欲が減ってきてたのは、単に家事が億劫だったからかなって」


昨日病院にお見舞いに行くと、本当にただの疲れだと思っていたと、優ちゃんは微かに悔しそうに言った。

あたしもそう思ってた。ちょっと痩せたかもな、疲れてるんだなって。

でも優ちゃんだし、大丈夫だよなって。薄情な幼なじみだなと、自分に呆れた。


「担当医が白血病の名医らしい。昔は不治の病なんて呼ばれていた時期もあったらしいけど、医学が発展して白血病は治る病気になったんだって」

「それ聞いて、ちょっと安心したよ。あのさ……あたしに出来ることって、なんかある? してほしいこととか」

「歩……」

「何でも言って! あたしに出来ることなら、ちょっと出来そうにないことでも、何でもするから!」


優ちゃんの為ならなんだってする。なんだって出来る。

ベッドの脇でそう意気込むあたしに、優ちゃんは困ったように微笑んだ。


腕から伸びる点滴の管が痛々しかった。