君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


おとなしい妹の古めかしい告白方法に、あたしは感心半分呆れ半分で頷いていた。

なるほど、確かに智花らしい。きっと真面目に文面を考えて、何度も何度も書き直したにちがいない。


「それ、歩が渡してくれないかな?」

「……はあ? 何であたしがそんなこと」

「お願い! 歩からなら、優くんも受け取ってくれると思うから」

「いや、でもあたしが書いたんじゃなく、智花が書いたんだし。一応これも告白でしょ? 自分で渡した方が……」

「お願いします! 直接渡して、優くんがどんな顔するか、恐くて見れないの」


拝まれて、拝まれて、拝み倒されて、結局あたしは引き受けてしまった。

まいったなと思いながらも、手紙を持って智花を部屋を後にした。


気は重かったけど、手紙渡すくらいならまあいいか。明日にでもさっさと済ませちゃおう。

そんな風に軽く考えて、託された手紙を通学鞄に入れた。


ちゃんと、渡すつもりだったんだ。この夜も、次の朝もそのつもりだった。

あの時、あの瞬間までは、そう考えていたのに。



放課後、校舎裏を剣道部の練習に向かうため歩いていた。

智花の目の前で手紙を渡すのはちがうんだろうなと思ったから、智花がいない部活前か後に優ちゃんに手紙を渡そうと思ってた。