「と、智花と昨日、ケンカしちゃって!」
震える唇を誤魔化すように、殊更明るくそう言った。
薄暗い部屋で突然電気のスイッチを入れたような乱暴さだった。
「……ケンカ?」
まいったなあと頭をかくあたしを、優ちゃんはキョトンと見下ろす。
そんなに意外な答えだっただろうか。それとも、求めていた答えとは違ったんだろうか。
「智花と、ケンカしたのか?」
「そ、そう! 別にたいしたことじゃないんだけどね? えっと、な、何でだっけ。あ、智花のアイスだって知らないであたしが勝手に食べちゃったから、だったかな……?」
気づけば真っ赤な嘘を、必死に並べ立てていた。
不自然にもほどがあるって、自分で言いながら思った。でもいまさら止められない。
アイスなんかであたしたちがケンカするはずがないのだ。あたしが智花のアイスを勝手に食べても、きっと智花は怒らないから。
しょうがないなって、笑って許すだろう。良い子の智花ならたぶんそうする。
そんなことしてほしいなんて望んだことはないけど、智花が言うにはあたしのせいで智花はそうしてるらしいから。


