だってあたしは変われない。
もしいま、あの時あの場所に戻ることができたとしても、きっと同じ罪をおかすから。
そういう奴なんだ、あたしは。智花の言う通り、身勝手で自己中な奴なんだ。
自分のことが大事で、人の気持ちなんて全然気にしない、どうしようもない奴なんだ。
でも……それでも最近、考える。
あの時違う選択をしてたら、どうなっていただろうって。
本当はいまよりずっと、幸せとか笑顔がいっぱいで、周りだけじゃなくて、あたしもそれなりに楽しい世界もあったんじゃないかって。
そんなことを、気づけば考えるようになっていた。
このモヤモヤとして、少し吐き気にも似た、行き場のない気持ちをなんと呼ぶんだろう。
後悔……とでも、いうんだろうか。
そんなわけないか。……そんなわけ。
「歩」
階段に足をかけた時、上から名前を呼ばれて顔を向けると、優ちゃんが踊り場に降りてくるところだった。
今日の朝練もサボっちゃったから、顔を合わせるのは土曜ぶりだ。つまりとても、気まずい。
きっと怒ってるだろうなと思ったけど、優ちゃんはいつも通りの穏やかな笑顔を浮かべている。鬼主将の顔もしていない。


