翌日の日曜、あたしはひとり街に出ていた。

昨日に引き続き顧問が不在で、部活が休みになったんだ。

いつもなら優ちゃんや深月と自主練しているところだけど、あたしは用事があるからと断った。要はサボりだ。


練習をサボるなんてこと、いままでなかった。だってサボる理由がない。

剣道はあたしにとって楽しみで、生きがいで、癒しで、何より優先するものだから。

それをサボるなんて、自分でも信じられない。でもそうでもしないと、また情けない自分を見せてしまいそうで。


深月に泣き顔を見られるなんて、最悪だ。からかわれるネタをまた増やしてしまった。

優ちゃんにも……どんな顔をして会えばいいのかわからない。いや、それ以上に恐いんだ。


優ちゃんに何を言われるのか、恐い。他の誰でもない優ちゃんに、現実を突きつけられるのが恐かった。



「……あれ?」


特におしゃれでもないあたしが街に来てすることなんて、ほぼ決まってる。スポーツ用品店で剣道の道具を買ったりするくらいだ。

いつもの店に向かっていたあたしの目が、見知った顔をとらえた。動体視力には自信がある。この人混みでも見まちがえるはずがない。


智花だった。