優ちゃんは気付いてた。
気付いてて、このままじゃいけないって言おうとしてた。
いままでその本音を飲み込んでいたんだとしたら、それは立派な“迷惑”になるんじゃないだろうか。
あたしの我儘に付き合って、我慢してきたことが実はたくさんあったり。諦めたものや、切り捨てたものや、拒絶したものも。
脳裏でシャツワンピースの裾が翻る。
「あたし、は……」
「だから言ったんだ。他人の恋愛に首突っ込んでる場合かよって。お前はお前自身の気持すら蔑ろにしてるくせに、他人をどうこうしようなんて笑い種じゃねーか」
鼻で笑われて、あたしはカッとなって深月の手を振り払った。
涙は止まらない。でもそれはいつの間にか、怒りの色に変わっていた。
「やめてよ、決めつけないで! そんなんじゃないし!」
「じゃあどんなんだよ!? 言ってみろよ! 何で泣いてた!? 俺が納得するような説明できるんだろうな!?」
「な、泣いてないし! ここれはただ、優ちゃんが……いつもと、違って見えたから」
「主将がいつもと違うと、お前は泣くのかよ? 認めろよ。認めないと前に進めねーだろうが」
「だから泣いてないってば!」
進むってどこに? あたしはいま立ち止まってるの? じゃあどこに向かわせようとしてるの?


