君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


また、言われた意味が理解できなかった。

さっきから、深月は何を言ってるんだろう。誰のことを言ってるんだろう。


認めるって何を? 好きって誰が?


ぼうっと見上げるだけのあたしに、深月はまた舌打ちをして、空いた手で頭をかく。

苛立っているのか、呆れているのか、憐れんでいるのか。その全部なのか。



「いい加減自覚しろよ。そんなんだから、いつまでも中途半端なんだ、お前は」


まるであたしのことを、あたしの悩みを、苦しみを、全部わかってるみたいな言い方だった。

あたしよりもあたしのことを知ってるような、そんな口ぶりにイラッとする。


「意味……わかんない」

「わかんないフリもやめろ。いつまでガキでいるつもりだ?」


さっきの優ちゃんと同じようなことを言って、黒い猫目があたしを責める。


優ちゃんに迷惑をかけるな。優ちゃんの手を煩わせるな。

深月が言いたいのはいつもそれだ。あたしの我儘が、存在が、優ちゃんにとってマイナスでしかないと主張する。


そんなことないって、いままでは思ってた。でもいまは自信を持ってそう言えない。