君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「お前なあ。休みの日まで主将に迷惑かけてんじゃねーよ」


優ちゃんにともなわれ、白木家のリビングに現れた深月はあたしを見るなり開口一番そう言った。

ジャージにTシャツというあたしとたいして変わらないラフな格好の深月は、手にビニール袋をいくつかぶらさげている。


「あ、主将。これうちの親からで、良かったら」

「いつも悪いな。なに?」

「たいしたもんじゃないっす。大量にもらった素麺と、あとさくらんぼですね」

「ありがたいなあ。親御さんにいつもありがとうございますって、伝えてくれ」


深月から袋を受け取った優ちゃんがキッチンに向かう。

代わりに深月が向かいのソファーにドカリと腰かけ、長い脚を組んだ。


長ったらしい前髪の隙間から、黒い猫目がじっと、観察するようにこっちを見てくる。


「オイ」

「……なに?」

「なんて顔してんだよ」


苛立たし気に言われて、自分で自分の顔に手をやった。

なんて顔って、あたしいま、どんな顔してるんだろう。わからない。


誤魔化すように笑おうとして、失敗した。ますます深月の目が鋭くなる。


「ブサイクな顔で笑ってんじゃねーよ」