求めていた答えどころか、逆に絶対に答えたくない問いを投げかけられたあたしは、琥珀の視線から逃げた。
揺れるカーテンに吸い寄せられ目をやれば、窓の外に見知った顔があって声もなく驚いた。
深月がいた。
明るい窓の外、低い塀の向こう側からこっちを見ていた。
あたし以上に驚いたような顔に、いまの自分の状況を思い出してパッと優ちゃんの手から逃れる。
あたしの動揺に優ちゃんも気づき、同じように窓に目をやると、小さなため息をもらした。
「お前たちは休みの日に他に行くとこはないのか?」
やれやれと腰を上げて玄関へと向かう姿は、いつもの幼なじみのものだった。そう、思いたかった。
ドキドキと、嫌な速度で心臓が鳴っている。全身をめぐる血が冷え切っているような気がした。
優ちゃんは知っていた。あたしが怖れていることに。あたしが求めているものに。
もともと知っていて、気づかないふりであたしに合わせてくれていたのか。
それとも知ってしまったから、何かをしようとしているのか。
わからない。わからないけど、ひとつはっきりしていることは、
もう、このままじゃいられないということ。


