でも優ちゃんは、何でも同時にさらっとこなしてしまう。そして平均以上の結果を残す。主婦でも学生でも主将でも、なんでも。
器用で、才能溢れる奇跡の人。そうだ、奇跡ってあたしなんかよりずっと、優ちゃんにこそ似合う言葉だ。
もしかしたら、優ちゃんなら恋人が出来ても、他のことをそれまでと何も変わらずこなせるのかもしれない。
恋をすると皆変わっていった。
何でも彼氏が優先になって、会話の9割が恋についてのことになったり。彼氏とデートするからって、簡単に約束を反故するようになったり。
それまで毎日稽古に来ていた子が、休みがちになって結局退会してしまったり。
でも優ちゃんなら、彼女が出来ても変わらないかもしれない。彼女が出来ても、ちゃんと剣道を優先して、成績も落とさず、誰にでも優しい優ちゃんのままかもしれない。もしそうなら……。
「ねぇ、優ちゃん」
半分ほど減ったカレーを見下ろしながら、隣りの優ちゃんを呼ぶ。
優ちゃんもスプーンを持つ手を止めた。こっちを見たのがわかって、あたしもそっと隣りを見る。
日影でもキラキラ光る、宝石みたいな優ちゃんの瞳。いつまでもそこに、映っていたい。


