君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


何も言わなくても優ちゃんはご飯もルーも大盛りにしてくれた。もちろん深月みたいに「ブタとゴリラ、どっちを目指してるんだ」とかバカにしたりしない。

リビングのテーブルにあたしたちの麦茶のコップを持っていけば、優ちゃんはふたりぶんのカレーを運んでくれる。

福伸漬けとらっきょうも出てきて、感激で涙が出そうだ。そう言うと、優ちゃんに大げさだと笑われる。


カレーのお味は思った通り、絶品だった。

優ちゃんのカレーはうちのよりずっと上品な味がする。ルーは市販のものを使ってるって言ってたのに、なぜだろう。なにがちがうのか。


「優ちゃんのカレーはお店のより美味しい」

「カレーなんて誰が作っても一緒だろ? 簡単だし、たくさん作って冷凍できるし、手軽でよく作るけど」

「優ちゃん主婦みたい」

「主婦で、学生で、主将だよ」


確かにそうだ。優ちゃんは完璧で、万能で、何にでもなれる。剣道しかできないうえに、万年入賞止まりのあたしとはちがうのだ。

あたしは自他ともに認める不器用で、ひとつのことしか出来ない。というか、ひとつのことも満足に集中してできないダメな奴だ。